青森旅行の冬ならではの魅力

冬の青森をたらふく楽しみたい。青森県の心から冷える寒さの中で、心も身体も温まるものに出会えれば、それはとても魅力的ですよね。寒い季節の青森県を楽しむ方法を2つほど、ご提案します。

青森県と「たら正月」

たら正月、という言葉があります。魚偏に雪、と書く鱈は文字通り、寒い季節を代表する魚です。そして青森県では特に、鱈がたくさん獲れます。そこで青森の人たちの中ではこの鱈を一匹まるごと正月料理として食す文化が生まれました。残すところがないと言われる鱈をまるごと一匹、食べに行く旅行というのも、素敵です。

また青森の郷土料理に「じゃっぱ汁」というものがあります。これは魚の粗や内蔵などを野菜などと一緒に煮込んだもので、これにもよく鱈が使われます。魚の隅々の旨味まで逃がすことなく食す郷土料理。想像するだけでよだれが出てきてしまいます。
海に囲まれた青森県は、いつの季節も新鮮でおいしい魚料理に出会えます。だからこそ寒い季節には現地で旬のおいしい鱈料理を堪能したいものです。

昔の人の知恵から生まれた美しい「こぎん刺し」

寒い季節になると無性にお裁縫箱を取り出して、縫い物や編み物をしたくなるのはなぜなのでしょう。青森旅行のテーマに「こぎん刺し」を組み込んでみるのも、また粋なプランです。こぎん刺しとは津軽地方の伝統刺繍なのですが、その刺繍の文様はどこか北欧を思わせるお洒落さがあり、近年若い人の間でも人気急上昇中です。

もともとは、暖かい綿の布を買えず麻の着物で厳しい冬の寒さを凌ぐため、布に刺繍を施すことで少しでも布の目の隙間を埋めて暖かく過ごしたいという、津軽の女性たちが考え出した生活の知恵だった「こぎん刺し」。しかし豊かな時代になった今、カラフルさやデザイン性を付け足して、実用的でお洒落なこぎん刺し商品が販売されています。そんな青森の歴史と発展を感じることのできるこぎん刺し商品を探しに、あるいはこぎん刺しを実際に体験するために、青森県に足を運んでみるのもまた魅力的です。

冷たい北風に荒れる海、そんな外界の景色の内側に、人々の素朴で温かな生活の音を感じる冬の青森。きっと厳しい寒さの中で生きる人たちが暮らす地域だからこそ、その生活の中で生まれる文化はより温かく感じるのだと思います。弘前城の桜が舞う春でもなく、ねぶた祭りで活気湧き上がる夏でもなく、紅葉に彩られる秋でもなく、たまには寒い季節に静かな冬の青森県に出掛けてみませんか。